お酒選びのヒント

こんなとき、何を飲む?

日本酒は食前酒なのか、それとも食後酒なのか?などと迷う人はあまりいません。
日本酒はオールラウンドなお酒で、特に食事と一緒に楽しむのが一番いいということは誰でも知っています。
だから、日本酒のTPOなどというのは、ほとんどないにひとしいのです。
最近では酒の肴があれこれ工夫され、平成3年には酒匠(きき酒師)という日本酒のソムリエの誕生もあって、お酒と料理の関係が雑誌でもとりあげられるようになりました。
だからといって、「ヒラメのお刺身にはこのお酒、鮪のトロにはこれがいい」とまでいい切るのは無理があります。むしろ、酒の性質や飲み方を考えて
・ぬくぬくで熱燗という時は・・・本醸造純米酒
・暑い日には冷たい・・・生酒・生貯蔵
・酒のわかる友達と贅沢に・・・吟醸酒純米酒
・お花見に楽しく仲間と・・・本醸造純米酒
・彼と二人で特別な日に・・・吟醸酒
この程度の選択を考えておくのは無理がありません。
酒屋さんにいって、「本醸造ですっきりしたタイプは何」とか
「吟醸酒で香りのいいお酒を飲みたい」といえば、酒屋さんも大いに相談に乗ってくれることでしょう。
ともかく、吟醸酒・純米酒・本醸造の大まかな位置付けさえ分かれば日本酒の選び方はぐっと簡単になります。

冷やで飲むか、お燗で飲むか

最近の日本酒は、冷やで飲むことが多くなった。なぜ「冷やで飲むのか」というのには、理由があります。
よくできた吟醸酒や純米酒には芳香があり、この香りを楽しまない手はないからです。
特に吟醸酒は、新鮮なリンゴを割ったときのような、果実の香りがします。
これは酒造好適米を50パーセント前後も精米し、米の芯に近い部分のみを使って、長期低温発酵させると、こうした吟香が出るのです。例えは悪いですが、お米をいじめていじめていじめ抜くと、その苦しみの果てに、えもいわれぬ芳香を放つのです。
吟醸酒などの高級酒の「旨み」「爽やかさ」「香り」などを最大限に楽しみたいときは、7度から10度ぐらいの冷たい状態で飲むのが理想とされています。
一方、「それは分かるが、お酒はやっぱりお燗で飲みたい」という愛酒家も多いのです。
お燗にはそれなりの効用があって特に秋・冬には美味しいものです。雪見の酒などはどうしても熱燗で…ということになります。そういうときには、純米酒か本醸造のお酒を選ぶといいのです。

つまり、吟醸酒は冷やで楽しみ、お燗の酒は本醸造を選ぶというのが無理のない飲み方なのです。純米酒はどちらで飲んでも美味しい中間的な位置にあるといえます。
昔は「親の意見と冷や酒は後から効く」といって、冷や酒を飲むのを警戒する風潮がありました。また江戸時代はふるまい酒といって、職人たちが仕事が終わると、土間で冷や酒を飲みました。だから、冷酒を飲むのは雇い人というイメージが強かったようです。
今ではこんな考えはまったくありません。ワインをお燗して飲まないのと同じで、吟醸酒はワインを飲むようにして飲むというのが常識になりつつあります。
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辛口がいいというけれど

甘口、辛口の実態
日本酒の味を表現するとき「あま」「から」「ぴん」という表現があります。甘い、辛いは基本的なものとして分かるのですが「ぴん」というのはどうも分かりにくいです。
飲みほしたとき、味に張りがある酒というのが「ぴん」のことだといわれています。味は言葉にしにくいし、数字でも表しにくいというのが実態のようです。実は甘い、辛いも簡単ではないのです。

日本酒の味は時代によって変化している。
●明治時代は酸が多くて甘みの少ないお酒
●昭和初期は酸が多く、甘口
●現在は酸が少なく、流麗で辛口
というふうに変化してきています。最近では店で酒を選ぶ時にも、「さっぱりした辛口のもの」「淡麗なもの」
と、こうした形容詞のつくものが人気があるようです。

しかし、辛口といっても、人によって感じ方が違うし、「辛口だったら美味しいお酒といえるか」という問題も残っています。

日本酒度ってなに

プラスは辛口、マイナスは甘口  
それはさておき、では辛口を判断するにはどうしたらいいか、というと日本酒度計による「甘口」「辛口」の測定がよく行われています。 この測定結果が、ラベルにも掲載されているのです。
日本酒度計は糖分を測る機器で、プラス表示の目盛りが大きいほど辛口、マイナスになるほど甘口ということを表しています。

例えば、水の比重と同じところを0とし、 プラス5以上は辛口 ・プラス、マイナス1~4前後はやや辛口 ・マイナス2~5は中口 ・マイナス5~10は甘口 といった判断が行われています。しかしこれに酸度がかかわってきます。
酸度が強いと辛口に感じ、弱いと甘口に感じるという傾向があり、全体のバラ ンスによって、甘み、さっぱり感が変わってきます。

話がここまでくると、なんだか理科の授業を受けているようで分からなくなります。 「要はプラスなら辛口、マイナスなら甘口なのね」 という大まかなところでラベルには表示がなされています。だから日本酒度を見 て、辛口なのに、実際に飲んでみると甘く感じるということもあります。  美酒は、人の顔と同じで、鼻が高ければ良いというものでもありません。鼻が高いと か、目が大きいとかは美人の条件かも知れないませんが、それだけでなく、むしろバラ ンスの良さが大切なのです。 「べた甘」「悪甘」は論外として、辛口にこだわるより、 「飲みやすくて、美味しいね」という自分の第一印象を大切にしたいものです。

もし、もつと積極的に自分の好みを知りたいのでしたら、同じレベル(本醸造酒なら 本醸造酒のお酒を2本用意して、偏見を持たないで、飲みたいほうを飲むと いいでしょう。そのうち早く減るお酒となかなか減らない酒ができるはずです。
早く減るほうが貴方の好むお酒だということがわかると思います。

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味と香りで選ぶチェックする

味や香りを見極めるのは非常に難しいものです。
日本酒ではきき酒の専門家がいて、微妙な味や香りの世界を嗅ぎ分けています。一般の人がそこまで出来るようになるには、ある程度の訓練が必要なのです。
日本酒造組合中央会では、日本酒を四つのタイプに分類して、日本酒の愛好家に示しています。それは香りが高いか低いかの高低を縦軸にし、味が若々しいか、濃醇かを横軸にして、
熟成タイプ
コクのあるタイプ
香りの高いタイプ
軽快で滑らかなタイプ
と分けています。日本酒の魅力を表現しながら、特徴をとらえる意味でおもしろい分布表です。
女性は男性より、嗅覚においては優れているので、お酒を飲んだ時に、チェックして表に評価を書き込んでおくと、お酒に対しての理解が深まるでしょう。
飲んで楽しむのがお酒の醍醐味ですが、一方で飲んだお酒を注意深く観察し、香りや味をチェックして記録していくと、またお酒の楽しみが広がります。

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